研究科長挨拶 Dean's Message
北東北における
大学院教育の主要拠点としての
人文社会科学研究科
戦後、弘前大学の設置された経緯を紐解いてみると、 学問分野をどのような範疇で分類し研究・教育していくのか様々な案があったことがわかります。いうまでもなく、現在の人文社会科学研究科では、主に考古学、文学、芸術学、哲学、歴史学、言語学、国際地域学、法学、政治学、経済学、会計学など、人文社会科学分野を担っています。しかし1940年代の弘前大学設置の検討のなかでは、哲学、史学、文学、法経、数学、物理学、化学、生物学、農学、音楽、美術、体育、家庭が同じ部局に配置するという案だったようです。現代では、AI・ロボット時代の到来とともに「文理融合」がさらに求められているようですが、80年前、弘前大学の教育案において文系も理系もなく、学術全体で構想していたということは興味深いことです。
弘前大学大学院人文社会科学研究科(修士課程)は、人文学研究科を改組し、1999年4月に設立されました。以来20年以上にわたって、人文社会科学分野の高度専門人材を数多く輩出し、北東北地域における人文社会科学系の大学院修士課程教育の主要拠点の一つとしての責務を果たしてきました。本研究科は文系の研究を担っているように見えますが、わたしたちの研究はきわめて多彩です。文学におけるジェンダー多様性に関する分析、考古学における稲の源流に関する研究、音楽とは何かに関する哲学的研究、労働契約の意義、経済システムの比較などなど、これらはすべて領域横断的な特徴があります。文化・社会現象は、複雑な関連によって成立しています。文系・理系を問わず多様な専門的知見・方法論も活用しながら、興味を学問的なテーマに変えて研究を進めています。
近年では、世界中が戦争やコンフリクトに巻き込まれ、地球環境問題、富や教育の格差問題は悪化しています。学術の知と技術を総動員し、この難局を乗り越えなければならないと感じています。人文社会科学分野の学問を専門的に究め、他分野の知や技術と協働していく学術のあり方を求めること、真の意味で人道について理解を深めることはその手助けになります。
人文社会科学研究科長
羽渕 一代(はぶち いちよ)