社会心理学。その中でもグループ・ダイナミックスという、集団の動きを扱う学問分野です。
もともとあまり心理学には興味がなかったんです。でも大学1年生の時に受けた「情報科学」という授業がきっかけで社会心理学に関心を持つようになりました。その授業では、心理学自体が時代に応じて変わっていくことを強調されていたんですね。例えば「コンピュータが開発され始めた頃に、人間の心をコンピュータのように捉えようとした」というように。そういう話を聞いて面白いと思いました。さらにその先生の授業で、人間が集団になったときに特徴的な動きが現れる話や、実際の組織に働きかけていく話が面白いと思ったのが入口です。
テーマとしては、ずっと「科学と社会」の問題を追いかけています。これまでは、バイオテクノロジーの渦中にいる科学者の集団を見てきました。ちょっと変わった最先端の道具を使って生物学を進めようとしていた集団があるのですが、途中で目的が変わったり、いろんなライバルの道具が登場したり、研究ではそうしたプロセスに注目しました。ほかにも、人工細胞や未来予測など、最先端のテクノロジーの中にある「人間臭い」部分を見ながら、社会と科学の動きを明らかにしていきたいです。
私が、社会心理学やグループ・ダイナミックスで良いと思っている点は、自分自身のさまざまな発想を試していけるところです。ですので、ゼミでは、いかに自分でモデルを作れるかを重視しています。そのための練習を3年生ゼミで進めています。社会心理学の文献も読みますが、ポリシーとして、なるべく旬の題材をキャッチしようと心がけています。
卒論テーマはいろいろで、自由に立ててもらっています。たとえば、猫カフェ、お土産の購買意識、被災者にとっての被災者像、占いの心理、お土産の購買行動、絵本の中の子供の発達、先延ばし・・・。同じトピックでも、違う研究分野だと、やっぱり「研究者」が主役だと思うんですよね、良くも悪くも。指導では、調査のときに一回自分を消すことを強調しています。たとえば、被災者とは「その人たちにとって」どう表れているか。子供の発達は「その絵本の中に」どう描かれているか。一回自分が消えるやり方は、好きな人は好きなのではないでしょうか。消えて、また戻ってくるんだけど。それから、実証ということを大事にしたい。質問紙のデータならならそのデータ、絵本なら絵本という相手とよく対話すると、面白い卒論ができあがると思います。
これだけ学生さんがフィールドに行くコースは、多分、全国探してもないと思います。好奇心というのは、いつも最初からあるわけではなく、現場に触れる場面で生じやすいので、フィールドに出かける機会が多いことはよいと思います。私個人としては、もともと統計データや言葉を扱うことが多かったので、行動を見るための人類学的なアプローチや社会学的なアプローチは、参考になります。
ディープな世界に来たい方はどうぞ(笑)。
ありがとうございました。
専攻 | 社会心理学 |
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出身地 | 奈良県 |
行ったことのある国 | シンガポール、中国、トルコ、オーストラリア、ニュージーランド、オーストリア、ドイツ、オランダ、イギリス、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、エストニア |
その中で好きな国 | 台湾 |
休日の過ごし方 | 買い物、温泉 |
趣味 |