わたしは人類学、なかでも「生態人類学」を専攻しています。これは、人間の社会・文化を環境との関わりから考える分野です。地域の人びとと生活や活動をともにするフィールドワーク(参与観察)という方法で調査をして、その地域のことを考える「地域研究」という分野でもあります。わたしは、広くいうと農業(牧畜や農耕)を生業としてきた人びと・社会について調査してきました。
わたしは、頭で難しいことを考えるのが苦手なので、現場で実感したことや相手の人びとの考え方を大切にしたいと思っていました。とくに、自然を相手にする生き方に興味を持って、大学生のころの実習では岩手県の北上山地でフィールドワークしました。はじめは採集活動(クリやトチの実拾い)を対象に調査していましたが、その地域で短角牛というウシ放牧の現場を見たことが大きな転機でした。農家がウシを扱うさまがカッコよく、また不思議だと思って、そこからウシ牧畜を卒業研究のテーマにしました。
その後は、外国での調査も視野に入れて大学院に進学しました。大学院でも、北上山地のウシ牧畜の調査を続けましたが、やがてアフリカ東部(おもにタンザニア)でもフィールドワークするようになりました。なぜアフリカ東部だったかというと、世界のいろいろな牧畜文化のなかでも、やはりアフリカの牧畜民がいちばんカッコよくて、おもしろそうだったからです。
大きくいうと、国のなかで周縁に位置する地域、とくに農村地域の発展について考えています。日本でもアフリカ(タンザニア)でも、人びとの生業や生き様に焦点を当てて調査しています。アフリカでは、市場経済と結びついて富者となった人びとを対象にして、家族のあり方や外部社会(近隣住民や政府)との関係について調査しています。せっかく弘前大学に着任したので、これからは青森県を中心に東北地方での調査も再開したいと思っています。
はじめに人類学の基本的な考え方や調査方法について勉強します。それから、各ゼミ生の関心を掘り下げながら、探してきた文献を読んでいきます。だんだん研究テーマや目的を明確にしていって、フィールドワークを基本にした卒業研究へとつなげていくという流れです。学生どうしが積極的に意見を出し合って議論したり、調査したりする態度を身につけて、楽しく取り組んでほしいと思います。
教員の専門が多様なので、いろいろなタイプの社会調査の方法を学べるのが魅力です。地域の現場に入ってインタビューや観察をする質的な調査、アンケートを用いた量的な調査など、各学生の関心や必要に応じて調査スキルを身につけられます。ただ勉強するだけでなく、実習やゼミ活動のなかで実践する機会が多いことも特徴ですね。
地域の現場で行動力を発揮したい人はもちろん、自分の関心を掘り下げて追及したい人にも向いていると思います。ぜひ、一緒に楽しく学びましょう!
専攻 | 人類学、地域研究 |
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出身地 | 兵庫県 |
行ったことのある国 | タンザニア、ケニア、ザンビア、カタール |
その中で好きな国 | タンザニア(長く調査していて、家族のような仲になっている人もいるので) |
休日の過ごし方 | 家でゴロゴロ寝ていたり、映画を観たり、バイクやチャリでウロウロしたり |
趣味 | 古着、バイク、空手(近頃はひとりで体を動かす程度ですが) |