概要
センターの目的
弘前大学の位置する北日本は世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」をはじめ、多様な文化財が地下に良好な状態で遺された地域です。この地に眠る埋蔵文化財は、白神山地に代表される豊かな自然とともに地域の貴重な資源であり、それらの価値を明らかにするとともに、適切に保護し将来に伝えることを、当センターの目的としています。
これまでのあゆみ
弘前大学は前身の旧制弘前高等学校時代に亀ヶ岡遺跡の発掘調査を実施するなど、長い考古学研究の歴史があります。平成10年には人文学部に文化財論講座ができ、日本考古学の専任教員が着任しました。人文学部では縄文の遺跡の宝庫である地の利を活かした教育・研究・社会貢献を実現するため、平成17年に附属センターとして、縄文晩期に北日本で栄えた工芸技術に秀でたユニークな文化に焦点を当てた亀ヶ岡文化研究センターを設置しました。平成21年には全国的に著名なコレクションである青森市の医師故成田彦栄氏の収集品の一括寄贈を受け、研究を推進、特別展示室を設けて一般公開しています。
平成23~27年度には、人文学部・教育学部・理工学研究科・農学生命科学部の関連教員が協力して、文理融合型の学際研究プロジェクト、特別経費(大学の特性を生かした多様な学術研究機能の充実)「冷温帯地域の遺跡資源の保存活用推進プロジェクト-環境激変期における資源利用戦略の学際的研究-」に取り組みました。この成果により、北日本における考古学・文化財科学の先端的分析拠点の地位を確立しました。特に下北・南部・津軽地域および八郎潟沿岸の考古学調査研究、保存科学研究、鉱物資源研究、漆・アスファルト研究、遺跡出土イネの形質・DNA研究など、北日本の遺跡資源を生かした研究や、縄文から弥生への環境激変期の人類の適応活動と新品種への選抜過程に関する研究は、過去だけでなく未来の私たちの生き方までも視点に入れた独創的な研究として、多大な成果を上げました。
平成26年度には、亀ヶ岡文化研究センターを母体として北日本考古学研究センターが発足しました。現在、考古学分野では国内有数の教育機関として、また学内資源を有効に利用した北日本の学際的研究拠点として広く認知されています。また、センターが有する遺跡から出土する有機質遺物の分析と保存のための様々な機器類とそれを操作する人的資源は北日本隋一であり、資料分析や保存処理に関して学外から受託・共同研究も積極的に実施しています。学内においても、センターは本学における文理融合型研究を牽引してきました。
沿革
- 1998年 人文学部文化財論講座設置
- 2005年10月5日 弘前大学亀ヶ岡文化センター設立
- 2009年9月24日 成田コレクション考古資料が寄贈され収蔵展示室を設置
- 2011年 「冷温帯地域の遺跡資源の保存活用プロジェクト」開始
- 2014年 弘前大学人文学部北日本考古学研究センター設立(組織再編)
センター名 | 弘前大学人文社会科学部北日本考古学研究センター |
所在地 | 〒036-8560 青森県弘前市文京町1番地 弘前大学人文社会科学部内 |
電話/FAX | 0172-39-3190 |
施設 | ・センター展示室 ・成田彦栄氏考古資料収蔵展示室 ・文化財科学分析室(保存処理) ・植物古DNA分析室 ・文化財分析機器室 |
設置目的 | (1) 北日本における考古学・文化財科学に関する教育・研究・社会貢献活動を行う。 (2) 展示施設で学術研究を基にしたミニ博物館活動を行い,広く公開する。 (3) 発掘調査などを通じ,研究資料を収集するとともに,展示 資料を充実させる。 (4) 北日本の優れた考古資料のコレクションを調査研究して学術資料化することに務める。 (5) 文化財の保存処理を通じ,地域資源を活用した教育・研究・社会貢献活動を行う。 |
構成員 | 【文化財調査部門】 人文社会科学部・文化財論講座・教授・センター長 上條信彦 人文社会科学部・文化財論講座・教授 関根達人 人文社会科学部・文化財論講座・教授 宮坂朋 人文社会科学部・文化財論講座・准教授 片岡太郎 【自然地理学部門】 教育学部・社会科教育講座・教授 小岩直人 【古環境学部門】 理工学研究科・地球環境学コース 名誉教授・柴正敏 【農学・古DNA部門】 農学生命科学部・食料資源学科 教授・石川隆二 農学生命科学部・食料資源学科 助教・田中克典 |
開館日 |
本センターは研究施設で常駐職員不在のため通常は閉館しています。 大学祭(10月下旬頃)に合わせて、一般公開とともに特別展示を行っています(入場無料)。また団体や調査研究目的の来学者に限り、職員が対応します(要予約)。 |