英国の考古学専門誌『Antiquity』は、1927年に創刊され、世界の考古学会で最も権威ある審査制の学術誌(年6回発行)です。これまで、全世界のさまざまな地域と時代の研究に取り組む多くの考古学者に広く読まれています。その『Antiquity』が毎年選定する「ベン・カーレン賞 (Ben Cullen Prize)」とは、全世界の考古学への“抜きん出た貢献”を認められた優秀な研究論文に対して与えられる賞で栄誉ある賞の一つです。
【受賞論文】(2023年6月掲載)
■ 論文名:Disaster, survival and recovery: the resettlement of Tanegashima Island following the Kikai-Akahoya‘super-eruption’, 7.3ka cal BP
■ 著者名:Junzo Uchiyama, Mitsuhiro Kuwahata, Yukino Kowaki, Nobuhiko Kamijō, Julia Talipova, Kevin Gibbs, Peter D. Jordan & Sven Isaksson
今回受賞の対象となった論文は、北欧の大学と連携した学際研究プログラム「CALDERA」によって、最近3万年間の地球史上で最大の破局噴火(※1)、7300 年前の鬼界アカホヤ噴火が、縄文時代の鹿児島県種子島に及ぼした影響をさまざまな分析方法を用いて実証した論文です。このように超巨大災害の長期的影響を知ることは、今年1月の能登半島地震や急速な地球温暖化に伴う異常気象、パンデミックなど、巨大災害に見舞われるようになった現代社会がどのように生き延び、持続性の高い社会に転換していくべきか、多くを学ぶことができると期待されます。
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