イギリス文学・文化論研究室へようこそ。ここでは担当している学問分野と研究内容、および授業として開講されている「英米文学A」「文学基礎論A」そして「イギリス文学・文化論ゼミ」についてお話します。
私が担当している学問分野はイギリス文学です。イギリス文学と一口に言っても、地理的にはイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドおよびイギリス植民地の文学全般を指します。時代的には起源6世紀の古英語時代から現代までの詩や劇作や小説などを含みます。
研究はヴィクトリア朝小説(特にチャールズ・ディケンズを中心に)と近現代小説を物語理論(ナラトロジー)の観点から研究しています。ナラトロジーとは、物語を「何を」ではなくて「どのように」読み解くかを分析する研究方法です。また同時に、文学は社会と密接につながっているのでヴィクトリア朝の文化的側面も研究しています。加えて、英語多読方法による学生の英語運用能力向上のための研究も継続して実施しています。
「英米文学A」は主にイギリス文学史を学びます。古くは起源600年の作者不詳の物語『ベオウルフ』から現代作家のカズオ・イシグロの作品まで、詩、劇作、小説などを幅広く扱います。授業では単に講義を受け身で聞くだけではなく、実際に作品を声に出して読むことや、扱う作品が今日の現代社会の様々な問題とどのようにつながっているかなどを主体的に考えます。過去に書かれた文学作品が今日まで読み継がれてきた理由は、現代にも通じるものがそこには描かれているとも言えるでしょう。また「英米文学A」は英語の教職科目の必修になっていて、教職を目指す人は履修することになります。
「文学基礎論A」では英詩の読み方と小説の読み方の基礎を学びます。英詩と言うと「なんだか難しいなぁ、面白くないなぁ」と思ってはいませんか?そう感じている人の多くは英詩のことを「知らない」からなのではないかと思います。この授業では誰でもわかるように、時代毎の詩を形式とリズムを通じて読み解いていきます。またイギリス小説は時代の特徴と文学形式からわかりやすく読み解きます。両方とも原作の一部を読み、鑑賞をしたりします。
「イギリス文学・文化論ゼミ」は学生主体のゼミナール活動です。ゼミ生が選んだ文学作品あるいは文化論関係文書などを輪読したり、ゼミ生各自が推薦する本を毎回紹介発表したりします。またイギリス英語のスキルアップの向上や、イギリスに親しむためにイギリス映画鑑賞を行うこともあります。
「卒業研究テーマ」は多様で、基本的にはゼミ生が希望する作家の作品論や、イギリスの文化事象を扱ったものなどがあります。以下、いくつかその例を出しておきます。
* Grotesque and Beauty in Frankenstein
*『ロミオとジュリエット』研究―登場人物が生み出す悲劇性―
*マザーグースに登場する生き物のイメージの変遷
*『嵐が丘』におけるヒースクリフの役割
*オスカー・ワイルドの父性と同性愛に関する研究
*イギリスにおける海賊と海軍―ドレイクから見る海賊と海軍の境界―
*イギリス王室の近代化とダイアナ元皇太子妃