文学は、時代精神や社会規範の表出であるとともに、それらに異を唱える抵抗の道具にもなります。多文化社会における「差異と共生」、旧植民地における「ポストコロニアル・アイデンティティの形成」を研究テーマとして掲げ、差別を受けてきたオセアニアの先住民族(アボリジニ、マオリ)、女性、性的マイノリティの作家たちの作品を主に取り上げ、彼らの紡ぐ共生の思想を抽出します。
「学習」とは、自らが更新されていく経験です。学生の皆さんが「異文化」を理解していくことを通じて、(1)固定した自らの思考法から解放され、(2)自明の領域を狭め、異質の領域への教官を養い、(3)新たな目で世界を眺めることができるようになる講義を提供することを目指します。( If my lecture is boring, please feel free to take a nap! )
「国際共生論A」、「アメリカ・オセアニア地域学B」は、両方とも「共生」をキーワードに、「差異」が「差別」につながらない、また「ハンディキャップ」とならない社会を構築するための様々なアイディアや取り組みを、世界一平和な国ニュージーランドを中心とした世界の地域の事例から学んでいきます。「宗教と共生」「植民者と先住民」「男と女」「大人と子ども」「健常者と障がい者」「異性愛者と性的マイノリティ」を具体的なテーマとして取り上げます。また、共生の思想・哲学についても論じます。
ゼミは開かれた場所であり、多様なアイデンティティを持った参加者が集まります。学生たちは「差異と共生」に関連したテーマについて研究書のみならず、自らの実践から学んだことを発表し、ディスカッションを通じてメンバーと問題意識を共有し、疑問や問題の解決を目指します。自分の思想や考えを実際の行動に移していくことで修正・洗練し、さらに深めていきます。
以下の3つの研究の指導が可能です。
(1)マイノリティの抵抗の文学 (先住民、女性、性的マイノリティの作家)
(2)オセアニアの地域研究(ニュージーランド、オーストラリア等)
(3)差異、差別、共生をテーマとした研究 (ジェンダー、セクシュアリティ、障害、人種差別、外国人差別、異質性嫌悪等)