調査地「青森県弘前市街近郊農村(旧相馬村、旧岩木町)、および青森県十和田市」
地域の農産物を生産者が販売する「農産物直売所」について調べています。注目するのは、地域に密着した規模の小さな経済活動とその社会的な効果です。
いろいろな直売所をたずね、店に並んでいる品物を観察して、品ぞろえの特徴を見つけたり、出荷者さんや店舗スタッフさんのお話を聞いたりしています。
半期で「企画を立てる→調べる→まとめる」作業を何回かくりかえして、しだいに理解を深めていきます。調査のやりかたは、文書調査、現地での観察調査、聞き取り調査など、社会調査の代表的手法をつかいます。
青森県の直売所や野菜、漬け物その他の加工品について誰よりも詳しくなります。モノのむこうがわにある、出荷者さんの工夫や技術のすばらしさが見えるようになります。
直売所はいま、6次産業化の基点として注目されますが、現在の農協や農産物流通について、そして農業や地域が抱えている課題について学べます。集めてきたデータの多様さ、複雑さにむきあいながら調査結果をまとめていく試行錯誤の過程で、グループワークを学ぶことができます。
直売所の品ぞろえはおどろくほど多様で、季節や地域の食文化をつよく映しだしています。それは、出荷者さんや店舗スタッフさんそれぞれの創意工夫やおたがいの交流から生みだされています。6次産業化といえば「経営多角化」と「高付加価値化」ばかりが議論されます。でも、はでな「成功例」から漏れてしまう小さな創意工夫が、出荷者さんや店舗スタッフさんらにもたらす「やりがい」は、地域の活力をかんがえるとき、とても重要です。高齢者や農家女性が参入しやすいこと、出荷者どうし・店舗スタッフ・来客との交流から「地域と農」の姿を発信する拠点などの点からも、直売所は刺激的な場だといえます。