弘前大学人文社会科学部
社会経営課程 地域行動コース


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社会調査実習の紹介

AT班

テーマまちの物理的環境から自動車に頼りすぎない社会を考える

調査地「青森県弘前市」

何を調べていますか?

まず、AT班という班名の由来を説明すると、”Active Transportation”の頭文字をとったものです。この耳慣れない横文字を直訳すると、”能動的な交通”となります。つまり、人間自身の力による移動のことで、はっきり言えば、徒歩あるいは自転車による移動のことです。近年の北米では、過度の自動車依存に対する反省から、徒歩・自転車といった交通手段を見直そうという気運が高まっています。弘前でも、自動車に頼ったライフスタイルが一般的となっているように感じられますが、その実態や理由を探っています。

AT班の特徴は何ですか?

Active Transportationという概念の元となった北米では、徒歩あるいは自転車という交通手段を選択するかどうかは、市街地の物理的環境によって左右されるだろうと考えられています。AT班でも、物理的環境との関係性ということを常に念頭に置きながら、交通行動・手段選択について観察・分析・考察を進めています。また、市街地の現況を把握する上で、GIS(Geographic Information System, 地理情報システム)と呼ばれるソフトウェアを活用しています。具体的には、このソフトウェアとオープンデータを組み合わせ、対象地域内での居住密度、道路網、土地利用を俯瞰的に捉え、今後より焦点を当てて調査対象とすべきエリアを絞り込む、などといったことを行っています。

調査から見える地域の動きを教えてください。

まずは、自らの目で市街地を観察したところでも、徒歩・自転車移動のしやすさという観点から見たときに、改善・検討すべき箇所がいくつか浮かび上がってきました。特に、移動能力に制約のある人々(ベビーカー、けが人、など)の立場に立ったとき、何が市街地内のバリアとなりうるのか、どのような迂回を強いられるのか、といったことにも気付かされました。また、交通政策担当者からもお話を伺い、今後ますます進んでいく高齢化を見据えたときにも、Active Transportationには重要な意義があるのではないかと感じさせられました。さらに、GISによる分析結果では、徒歩・自転車移動に影響を与えると考えられる物理的環境状況は、弘前市市街地内においても大きくばらついていることが分かってきました。この分析結果と私たちの生活実感を突き合わせたとき、ある程度までは、市街地の物理的改変を通じて徒歩・自転車移動への転換を進めていけるのではないかと思われる一方、より一層の調査・分析が求められているように感じています。

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