調査地:弘前市内における水害リスクの高いエリア、および、本学学生の行動範囲
TG班では、「私たちはどのような空間的範囲で、どのような企図のもと買い物行動をおこなうのか?」、「さまざまな側面から移動に困難を抱える人びとの災害避難行動はどのように成立するのか?」、「勉学とアルバイトの時間はどちらが重要と捉えられ、それはどのような要素によって決定されているのか?」といった議論を展開しています。
常にどこかの場所にいて、時間の流れの中で生活を送る私たちにとって、時間地理学が扱う「時間と空間」というテーマはある意味身近すぎるくらい身近なものです。ですから、TG班の学生にとっては、1年365日24時間が常に勉強する題材となります。また、TG班では、「時間と空間」の中で生じた事象に関するデータを収集するために、GPSからインタビューまであらゆる調査手法を導入します。そのような訳で、社会調査を学ぶ地域行動コース学生にとって、非常に勉強になることは請け合いです。
まず、弘前の大学生にとっては、居住場所や利用可能な移動手段によって買い物に行きうる範囲が人によって大きく異なり、さらにその範囲内の土地利用状況も絡んで、訪れうる店舗数の個人差が想像外に大きいことを明らかにしました。また、弘前市内の保育園・小学校・高齢者施設が水害時に想定する避難行動は、時間地理学における「能力の制約」、「管理の制約」、「結合の制約」という考え方によって明快に理解できることを明らかにしました。さらに、弘前の大学生のアルバイト選択の背後では、履修講義科目の時間割、何に優先して時間を費やすかという個人の価値観、通勤のための移動手段などがどのように絡み合っているかを明らかにしました。