弘前藩藩校資料とは

弘前藩藩校資料とは

津軽地方における学術・文化のあり方を伝える貴重な資料

弘前藩では、早くから藩士の教育・啓蒙の活動が行われていましたが、弘前藩八代藩主信明(1762-1791)は、四代藩主信政のころから行われていた「城中講釈」の講釈日を定例化するなどして、意欲的に藩士教育に取り組んでいました。しかし三十歳の若さで亡くなったため、その意志を継いだ九代藩主寧親の代に、藩校「稽古館」が創設されました。

稽古館の蔵書や藩主津軽氏所蔵の蔵書である「奥文庫」の典籍数千冊は、現在、青森県弘前市に所在する私立の東奥義塾高校に引き継がれています。

日本全国に所在した藩校の旧蔵書は、多くの場合、その土地の県立・市立などの公立図書館や国公立大学に継承されるため、私学のそれも高等学校が所蔵している例は全国的にも珍しいものです。また藩校の旧蔵書は、江戸から名刺の新政府へ時代が移り、新しい学制が施行される変革期にあって散逸してしまった藩が多い中、弘前藩校稽古館の旧蔵本は、その大部分が東奥義塾高校へ引き継がれ、その上、本が痛みや破損の極めて少ない良好な状態で、現在も管理の行き届いた体制で保管されている、全国でも稀有な例です。

これらの資料は、弘前藩や津軽地方の歴史や文化を知るための貴重な資料であり、調査研究により弘前藩の知の体系を明らかにすることが期待されています。

タイトルとURLをコピーしました