24.08.20
16世紀に始まった宗教改革では、さまざまな考えを持つ集団が次々に生まれた。神聖ローマ帝国で「異端」「反乱者」として迫害されていた再洗礼派もその一派である。しかし、ドイツ北西部ヴェストファーレン地方の中心都市ミュンスターでは、この再洗礼派が、1534年2月以降都市を支配し宗教改革を実行した。では、いかに再洗礼派は、市内で起こった激しい宗派間争いの末、敗北と紙一重の勝利をその手に引き寄せたのか?市内には多様な集団・社会階層に属する人々がおり、様々な動機に基づき自らの態度を決めていた。本書は、彼らの多様な思惑と行動が、複雑にもつれ、絡まりあいながら、ミュンスターの宗教改革運動を思わぬ方向へと導く過程を描き出している。
(著者の紹介)
永本哲也:専門は、16世紀前半ドイツ、オランダ、ベルギーにまたがる地域の宗教改革。特に再洗礼派という、宗教改革で生まれたマイノリティを中心に研究している。主要業績は、著書『ミュンスター宗教改革』、共編著『旅する教会―再洗礼派と宗教改革』など。本書では、再洗礼派が、ミュンスター市の統治権力を握るまでの過程を検証した。
多文化共生コースはこちら