
現在、土偶や史跡などの個々のモノに焦点を当てた出版物は多数あるが、大学が所蔵するコレクションという集合体と、地域に根ざした独創的かつ学際的な研究資源を融合させた考古学の本はみかけない。本書は、「地方」史の枠を超え、地域の考古学研究が歴史の見方をどのように変え、さらにどのように変わり続けるのかを探る。
前半では、大学が所蔵する貴重なコレクションと、これまで調査してきた遺跡を紹介する。先人たちの研究に対する挑戦や視点を振り返ることで、弘前大学の考古学研究が地域に果たしてきた重要な役割を知ることが出来るだろう。後半では、現在と未来の研究に焦点を当て、地域に根差した大学ならではの学際的かつ創造的な研究を紹介する。地理学、民具学、地学、文化財科学、分子化学、農学など多様な分野からのアプローチに加え、災害や気候変動、地域活性化といった地域発の世界的課題に挑む研究の姿を描く。
最先端の分析技術の紹介にとどまらず、遺物や遺跡そのものが持つ美的な価値を豊富なグラフィックで紹介し、その歴史的価値にも深く迫っている。新しい考古学の世界を是非楽しんでいただきたい。
■弘前大学人文社会科学部北日本考古学研究センター 編
■B5判・192頁・並製
■定価 2,970円(本体価格2,700円+税)
■ISBN 978-4-910425-18-4
■発行 2025年2月17日(予定)
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