卒業生インタビューシリーズ
創造者 の翼に
第1回:作家・小説家 矢樹純さん
第2回:作家・小説家 古矢永塔子さん
第3回:弁護士 小林裕和さん、秋本佳宏さん、小泉直永さん(座談会)
「文系の学問を学んで、何ができるのかがわからない」という声があります。たしかに、文系の進路は多様なので、理系のような真っ直ぐな将来の姿を描きづらいかもしれません。
しかし、そのような将来像の多様性は、文系進学の魅力でもあります。そこで、弘前大学人文社会科学部(旧人文学部を含む)を卒業して社会で活躍している方々にお話を伺うインタビューを行い、「どのような将来が描き得るのか」を示してみたいと思います。
文系出身者は、「人間」という複雑・多彩なものを相手に創造性を発揮することが求められます。卒業生の方々は、どこで、どのように創造性を発揮されているのでしょうか。そこに至る道のりで、何を思い、考えているのでしょうか。皆さんには、本学部の学びを糧に、創造性の翼を広げて、遠くまで羽ばたいてほしいと考えています。インタビューをヒントに、自身のロールモデルをみつけてください。
第1回:作家・小説家 矢樹純さん
弘前大学人文学部卒業
プロフィール(やぎ・じゅん さん)
1976年、青森県生まれ。本学部を卒業後、総合スーパーに就職。結婚と出産を経て、漫画の原作者になり、その後、小説家をめざす。『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』(宝島社文庫,2012年)、『あいの結婚相談所』(加藤山羊・矢樹純, 小学館, 2014)などを発表し、小説「夫の骨」(祥伝社文庫『夫の骨』所収, 2019)で第73回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。
矢樹純『夫の骨』(祥伝社刊)
就職してから漫画原作者をめざすまで
——大学卒業後の進路は?すぐに小説家になったのではないと伺っています。
【矢樹さん】 私が卒業した頃は就職氷河期と言われていました。その頃から結構ぼんやりした人間だったので、氷河期なのに就職活動も結構出遅れたんです・・・
第2回:作家・小説家 古矢永塔子さん
弘前大学人文学部卒業
プロフィール(こやなが・とうこ さん)
1982年、青森県生まれ。弘前大学人文学部を卒業して東京でIT系企業のプログラマーになる。結婚を機に高知に移住。2017年から小説を書きはじめ、2019年に小説「七度洗えば、こいの味」で日本おいしい小説大賞を受賞(小学館から『七度笑えば、恋の味』として刊行)。
古矢永塔子『七度笑えば、恋の味』(小学館刊)
社会人から小説家に
——大きな賞を受けられる2~3年前に小説を書き始め、しかも最初の小説も出版されたと伺っています。その前の段階、小説を書き始める前までは、どんなことをされていたのでしょうか。
【古矢永さん】 大学を卒業してから数年間、東京のIT系企業でプログラマーとして働いていました。その後、同じ弘大生だった夫と結婚し、夫の出身地の高知に移住して、子育てをしつつ建築事務所で事務のアルバイトをしていました。その頃は毎日が慌ただしく、てんやわんやな感じで、全く自分の時間がなかったのです。小説を書き始めどころか、本を読むこともできない状態でした。
——小説を書き始めたきっかけはあるのですか。
【古矢永さん】 きっかけですね。長女がすごく絵本が好きな子で、毎年の誕生日に娘を主人公にした手作りの絵本をプレゼントしていたんですが、娘が小学校に入る頃「今年は自転車がほしい」と言われて。(笑) ・・・
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弘前大学人文学部卒業
——第3回目は座談会形式で、若手・中堅の弁護士として法曹分野で活動されている3名の卒業生にお話を伺います。
プロフィール
(こばやし・ひろかず さん)
1986年、北海道生まれ。本学で行われた新司法試験制度のシンポジウムに偶然参加し、法曹の道を志す。2009年に弘前大学人文学部を卒業し、2012年に司法試験に合格して弁護士資格を得る。現在弁護士9年目、札幌市の下川原法律事務所所属。
(あきもと・よしひろ さん)
1989年、神奈川県生まれ。学生時代はソフトボールに熱中する。2013年に弘前大学人文学部を卒業し、2016年に司法試験に合格して弁護士資格を得る。現在弁護士5年目、静岡県下田市の下田ひまわり基金法律事務所所属。
(こいずみ・なおひさ さん)
1994年、北海道生まれ。大学2年生ごろから司法試験を想定した勉強をはじめる。2016年に弘前大学人文学部を卒業し、2019年に司法試験に合格して弁護士資格を得る。現在弁護士2年目、札幌市の弁護士法人リブラ共同法律事務所所属。
それぞれの大学生時代
——学生時代は、どんな大学生でしたか。
【小林さん】 学生時代に法曹を目指していましたかと言われると、全く目指しておりませんでした。この道に入ったことについては、大学3年生になって就職活動をみんなが始めているころに、自分は一体どの業界に行きたいのか全く迷ってしまって、会社に入って働くという自分が想像できなかった。そこに、当時注目を集めていた新司法試験制度の法科大学院に関連した学内のシンポジウムに偶然出くわしました。そこで、あ、法科大学院という制度があって、こういう道もあるんだなと・・・